こんにちは、あほろです。
本日は「おすすめしない!○百万円の利益を出した会社員が語る持株会」と題して、従業員持株会について私の経験と見解を記したいと思います。
- 今持株会に加入している方
- 新入社員の方や今から持株会に加入しようかお悩みの方
のご参考になれば幸いです。
私は新入社員時代から十数年持株会を継続した会社員です。
結論、タイトルに有るように、私個人の意見としては、おすすめしません+私は既に全て売却・退会済みです。
以下、私の投資実績の詳細となぜおすすめしないという結論に至ったかをご紹介します。
なお、当記事は下記記事にまとめてある「私が実施した全ての家計・生活改善25選」の詳細記事の一つになります。ぜひこちらも御覧ください。
私の持株会投資実績
まずはじめに、私の持株会投資実績をご紹介します。
- 継続年数 10年強
- 投資額 平均 約50万円/年 (住宅購入後は積立額を減らしました)
- インセンティブ(奨励金) 10%
退会時(2021年3月)の合計収益【税引き後】
奨励金計 | 約70万円 |
---|---|
売却益 | 約450万円 |
受取配当金 | 約50万円 |
合計 | 570万円 |
※受取配当金は持株会から自口座に移した後に得た分のみ(自動再投資分は含まず)
めちゃくちゃ儲かった
では、なぜ持株会でこんなにも利益を出すことのできた私が「持株会を勧めない」のか説明していきたいと思います。
持株会のメリット
まず持株会のメリットを整理しましょう。
①インセンティブ(奨励金)
代表的なメリットとして挙げられるのはインセンティブ(奨励金)です。
2019年の東京証券取引所の調査結果によると、平均値は約8.5%
つまり、積立額に対して、8.5%会社側が追加してくれることになります。
銀行に預けても金利が0.001%という時代に無条件で8.5%もらえるのは大きいですよね。
私が入社時に加入&当時の限度額いっぱい積立することを決めたのも、このインセンティブが魅力的に思えたからです。
注!
ただし、このインセンティブの率(%)は「複利」ではありません。あくまでも購入時の1回のみに発生する「単利」です。他の金融商品の「金利」とは異なり、いわゆる「複利効果」は働きませんので、単純比較してはいけません
はい、「必ず年10%上がる投資なんてめったに無いんだから、株価が仮に横ばいでもめっちゃメリットあるーーー!」と食いついたのは新入社員時代の私です
簡単に比較してみましょう。
- 毎年10万円投資 ✕ 投資期間5年 =総投資額50万円
- 持株会 インセンティブ10%、株価は値上がりなし
- インデックス投資 年利5%
- 配当金、税金は考慮せず
持株会 | インデックス投資 | |
1年目 | 110,000 | 105,000 |
2年目 | 220,000 | 215,250 |
3年目 | 330,000 | 331,013 |
4年目 | 440,000 | 452,563 |
5年目 | 550,000 | 580,191 |
利益計 | 5万円 | 約8万円 |
率だけでみれば 10% vs 5% なのに、5年で約3万円も5%のほうが勝っています。これが「複利効果」です。今回は5年でしたが、投資期間が長くなるほどこの差は広がっていきます。
もちろん持株会の株価が上る可能性もありますし、比較先のインデックス投資も毎年必ず5%増えるわけではありませんので、これだけで優劣をつけるつもりはありませんが、当時の私のように単利と複利をごっちゃにしないことが大切です
②個別株のドルコスト平均法投資が可能
ドルコスト平均法とは、一定額を定期的(毎月、毎週etc)に積み立てていく投資手法であり、株価が安いときは多く購入、株価が高いときは購入株数をおさえられることができ、長期投資における王道の投資手法です。
ただ、一般の証券会社で個別の会社の株を購入する場合、このドルコスト平均法が使えません。そもそも、日本株の売買単位は100株なので、そもそも少額で購入できない。1株から買うことのできるSBIネオモバイル証券等を使ったとしても、株価が1万円前後する会社の株では毎月1〜2株を買うのが精一杯のため、定額ではなく「一定株数」購入となってしまい、基本「株価が安いときに多く買う」ができません。
一方、持株会の場合、個人ではなく持株会がまとめて購入するため、積立金額に応じて1株以下の小数点単位で株式を購入できますので、ドルコスト平均法が個別株で使えることになります(かつ、それによる手数料はなし)
また、保有株数に応じて配当金が支給され、個人の証券会社に株式を移管しない限り(移管する場合は100株単位)それが自動で再投資されるため、複利効果が高まります。
③(ある意味)先取り貯金
後々振り返ってみると、これが当時の私には意外と大きなメリットでした。
新入社員で、マネーリテラシーなんてゼロ、定期的・意識的な貯金なんて考えもしなかった当時の私には、給与から天引きされるという強制力はある意味先取り貯蓄として機能してくれていました。
実際は価格変動の大きい株式に投資しているのですから、先取り「貯金」とは言えませんが、強制的に一定額を引かれて、投資に回せていたのは結果としてメリットでしたね
(銀行口座に現金としてあれば、無駄遣いしてゼロになっていた可能性も否定できず、、、)
持株会のデメリット
次にデメリットはこちら。
①流動性 :売りたいときに売れないリスクあり
持株会→個人口座に移す必要あり(100株単位)
これは私の体験談ですが、持株会のお金は貯金代わりだったので当面売却する予定はなく、ずっと持株会の中で運用(放置)していました。
そろそろ若手とも呼ばれなくなってきたある時、私の会社の株価が何故か急騰し、過去最高値を更新しつづけていた時期がありました。「今が売り時だ!」と自社株を売却したという同僚の声が多方面から聞こえてきておりました。
が、めんどくさがりの私は、まだ個人の証券口座を作ってすらおらず、その波に乗ることはできず、、、、(口座開設には申込みから2〜3週間必要)
また、仮に個人口座を持っていても、持株会→個人口座への株式移管(100株単位)は申請から移管まで数日〜1週間程度かかるため、自分が売りたい時より前に自口座に移しておく必要があります。
教訓:個人口座はすぐ開設、100株単位で口座に移しておくべきだった (単元未満株での配当再投資はできなくなる背反あり)
売却時に会社の承認が必要な場合あり
会社や部署によっては持株会の売却時に上司の承認が必要な場合があり、その煩雑さや自分が売りたいときに売れないというデメリットがあります。
これはインサイダー取引防止:社員は会社の内部情報を知りえる立場のため、株価に影響する情報を事前に把握し、自社株取引をしないようにするため、ですので仕方がないと思います。これは仮に持株会ではなく個人の証券会社で自身の会社の株を取引する際も同じ注意を払う必要があるため、持株会固有のデメリットというよりは、自分の会社の株を保有するデメリットですね。
私の会社ではありませんでしたが、なんとなく自社株を売るのはNGな空気のある会社もあるみたいですね。(例えば経営層が自社株をガッツリ売り出したら、この会社大丈夫か??ってなりますよね)
②税制優遇(NISA)が使えない
持株会に加入する人は新入社員、つまり投資初心者が多いと思います。
株式投資を少しでも勉強した方なら、最初の投資は「NISA活用」が鉄則だとご存知だと思います。
- (一般)NISA: 最大120万円/年 ✕ 5年 の投資益が非課税
- 積立NISA : 最大40万円/年 ✕ 20年 の投資益が非課税
NISAを使わない特定・一般口座の場合、売却益・配当金に20.315%の税金がかかります。
持株会から個人の口座に移す際、NISA口座に移すことはできないので、持株会での投資は課税対象となります。
約20%の税金は相当大きいので、最初の投資として持株会を選ぶのは悪手と言えます
冒頭にお見せした私の実績の場合、ざっくり100万円以上税金を払っており、持株会のメリットであるインセンティブ費用を超えていることがわかります。
(これは私の売却益が多かったため、であるとか、実際は積立NISAの上限は40万なのでそれ以上は課税対象になる等ありますで、これだけで必ず持株会が損する、とは言えませんが、課税/非課税のインパクトの一例としてご理解ください)
③最大のデメリット:人的資本と金融投資の集中投資
3つ目は「人的資本と金融投資の集中投資」になるから、です。
私がオススメしない・退会した最大の理由はこれです。
投資の大原則 :同じ籠に盛るな = 投資は分散せよ
これの対極になってしまうから。
金融投資のなかでも、しっかり分散投資しリスク分散することが必須にも関わらず、個別株の集中投資 + さらに人的資本まで同じ会社に投資(勤務)していることになります。
(資金に余裕があり、持株以外にも多種多様な金融投資をされている方はその限りではありませんが、それでも最大の資本である人的資本と金融投資を同じところにかけるのはリスクあり)
給与の大幅カットや万が一リストラに合った場合、会社の業績は悪化しているため、おそらく株価も大きく下落しているでしょう。
つまり、給与は減る(なくなる) + 金融資産も大幅減 というダブルパンチをくらうことになり、これでは適正なリスク分散とは言えません。
まとめ(私の見解)
私がオススメしない理由
私がオススメしない理由は上記デメリットのほうが大きいと思うからです。
特に③の人的資本と金融資産の集中投資によるリスク・デメリットが大きすぎると考えています。
「でも、結果としてめっちゃ儲かったじゃないか」
というご指摘はあるかもしれません。
これについてはただ 運が良かった・(知らずにやっていた)ギャンブルに勝てただけ
だと思っています。
もう一度私の利益内訳をお見せします。
奨励金計 | 約70万円 ←持株メリットはこれだけ |
---|---|
売却益 | 約450万円 ←持株関係なし |
受取配当金 | 約50万円 ←持株関係なし |
合計 | 570万円 |
私の利益の大半は売却益であり、インセンティブ(奨励金)の合計は70万円です。これは上記の通り、仮に同じ値動きをする株式をNISA口座で運用していれば非課税分で取り戻すことができていました。
したがって、利益の大半は単純に
個別株の集中投資に”偶然”勝つことができた
だけです。入社当時〜数年はリーマンショックの影響で株価低迷 → 売却時はコロナショック後の金融緩和による株価上昇:最高値付近で売却、という市場環境の運もあります。
怖いのは私がこのギャンブル近いことをしている認識はなかった、という点です。
確かに、投資知識ゼロだった新入社員時代の私が、持株会に加入せず、しっかりと分散されたポートフォリオや長期的に値上がりするインデックス投資ができていたかというと100% No! なので、結果としてはよかったかもしれません。
ただ、もし持株会加入に「迷って」この記事を見てくださっている方がいらっしゃれば、その方はしっかりと勉強してから判断したい、という方だと思いますので、当時の私とは全然違います。正しい金融投資の勉強をしていただき、ご自身の目的/リスク許容度にあった投資計画を立てていただいたほうがいいのではないか、と私は考えます。
もちろん、ご自分が入社した会社は「今後成長していくはず!」と思い入社した方の場合、「その成長に応じて株価もあがるから、インセンティブ+株価上昇の両方が取れる!!」と考え、持株会を活用することを完全否定するものではありません。ただし、それによるリスク(ギャンブル性)はしっかり把握してから決断すべきだと思います。(イチ社員の努力とは全然関係ないところで株価って動いていくのが現実です)
なお、別記事で「生活改善できた!」「お金の心配がなくなった!」とか言っておりますが、それは結局持株会で儲かったお金があるからでは?と思われていたら、これは明確に否定させてください。
いくらまとまったお金が今手元にあったとしても、それが棚ぼたで得たものであれば、ただ減らしていくだけですので、お金の心配はなくなりません。
私は生活防衛資金は家計改善で貯め、今後の積立投資も生活改善で生み出すことができた余剰資金で実施していく計画です。今回得た利益は新しく組み直した米国株中心のポートフォリオ構築の種銭にしています(もちろん今回の利益により目標金額達成への期間を短くできる見込みになったことは非常に嬉しく思っています)
逆に、手元の現金がなくなり、コロナによる給料減で赤字会計になったときは、本当に持株を売り現金がほしかったのですが、当時の株価はコロナショックによる底値で、もしこのときに売っていたら売却益どころか損失を出していました。ここで株価売却に逃げず、家計改善に本気で取り組んだ選択は本当に良かったと今も強く思っています。
同時に、株式は売りたいときに売りたい価格になっているとは限らないことを痛感しましたので、しっかりと生活防衛資金として(+将来確実に使う予定のある分は)現金で持っておく必要性を身を持って学ぶことができました。
持株会を通して学ぶことができた株式投資
とはいえ、持株会という形ではあるものの株式投資を十数年継続したことにより、株式投資(特に長期投資)について身を持って学習できたことは大きな資産になりました。これは今後の投資人生に活かしていけると確信しています。
- ドルコスト平均法の有用性を実感
- ボラティリティ耐性(放置する力)
- 配当金=不労所得の嬉しさ
- 「売り」の難しさ :天井で売るなんて不可能
- 生活防衛資金の確保の重要性を痛感 :売りたいときに株価が低迷していたら売るに売れず
今後は、株式投資は株式投資として、目的・リスク管理を忘れずに、それとは別に人的資本の最大化に取り組んでいきたいと思います。
当記事が持株会を検討、現在加入されている方の参考になれば幸いです。
以上!